第1章 マーケティングの変遷とその概念

[マーケティング戦略1] フィールド・マーケティング

顧客との接点である売り場を軸にしたマーケティング実践こそ、顧客志向の原点である。

フィールド・マーケティングとは
 顧客との接点である売り場を中心としたマーケティング発想であり、売り場からのさまざまな情報発信によって来店客の購買意欲を刺激し、商品購買に結びつけるためのマーケティング活動のことです。商品の陳列方法や展示方法あるいはPOPの効果的な組み合わせなどによって売り場を活性化させるインストア・マーチャンダイジングなども、このフィールド・マーケティングの代表的な手法の一つです。
 また、売れ筋をいち早く把握し、死に筋をなくすこと、そして適正な在庫を確保することは商品管理の大原則ですが、これらもフィールド・マーケティングと大きく関わっています。

売り場での実験感覚が重要に
 フィールド・マーケティングは売り場と直結しているだけに、その効果は具体的であり、かつ短期間に現れることが特徴です。フィールド・マーケティングで重要なのは、この特徴を十分生かした計画を立てることです。
 効果が具体的かつ短期間であるということは、顧客の反応を見ながら、臨機応変に売り場づくりの方法を変更することも可能であるということです。それゆえ、新しい発想やアイデアがわいたなら、できるだけ早く売り場で実験し、そして顧客の反応によって計画を修正していく姿勢が重要になります。その意味で、フィールド・マーケティングは極めて戦略的であるとともに、戦術的でもあるのです。

売り場こそマーケティングの原点
 売り場は顧客との接点であることから、さまざまな顧客ニーズに関する情報であふれています。また近年、インターネットを通じた商取引が拡大していますが、マーケティングの基本はあくまで「顧客を知ること、顧客に知らせること」です。いつの時代においても、「売り場こそマーケティングの原点」という大原則に変わりはないのです。