第1章 マーケティングの変遷とその概念

[マーケティング戦略2] NPOマーケティング

大学や病院などの非営利組織であっても、今や利用者から選ばれる立場になった。

NPOマーケティングの課題
 学校や自治体、病院などは非営利組織であり、企業収益の拡大を目指すマーケティングとは、一見無縁のような感じを受けるかもしれません。しかし、非営利組織も、「サービス」という“製品”を利用者や社会一般に提供しているのです。そのため、組織の目標も、できるだけ良質のサービスを最小のコストで提供することが最大の課題となります。このNPOの組織目標は、マーケティングの目標そのものでもあるのです。
 各種規制緩和と民営化の動き、そして少子高齢化社会の到来は、非営利企業といえども競争という市場原理から逃れることを不可能としました。いまやNPOも利用者や社会から“選ばれる側”に回る時代となったのです。例えば、少子化が進んだ結果、大学の入学定員数が受験者数を上回るという逆転現象が起きています。
 また、病院や医院も制限つきながら広告が可能となってきました。これらの事例が示すのは、大学でも病院でも、マーケティングマインドを持たないと経営が成り立たない時代になったということです。
 いずれのNPOにとっても、積極的なマーケティング実践を通じて自らの特色を強くアピールして、選ばれる組織になろうという努力が極めて重要となっているのです。