第3章 市場戦略と市場構造

[市場構造の理論と実際4] 市場細分化の基準と条件

地理的変数、デモグラフィック変数、心理的変数、行動変数などが、細分化の代表的な基準。

 市場細分化のための代表的な変数には、以下のようなものがあります。

@地理的変数
 国、地域、都市規模などによる分類で、気候、経済発展度、文化・宗教、政策などによる消費者の行動の違いを明確にします。国内市場を例に取ると、家電、衣類、食品などが地域性の影響を受けやすい商品の代表です。また、特定地域に的を絞ると、工場の建設や販売網の整備を新たに必要とすることもあり、地理的変数は経営全般に影響を与える可能性を含んでいるといえます。

Aデモグラフィック変数
 性別、年齢、職業、所得、学歴などの個人のプロフィールを示す変数で、多くの消費財がこれによりターゲットの規定を行っています。情報の収集が容易なため、利用頻度が高い変数ですが、人々の価値観の多様化により、同じセグメントに分類されても実際の消費行動はまるで異なることもあるので注意が必要です。

B心理的変数
 人は生まれ育った環境やその後の生活体験、また準拠集団などによって異なった価値観を持っており、それが消費行動にさまざまな影響を与えます。雑誌、ファッションなど感性的な消費が中心となる分野では、この心理的変数による細分化が特に重要となります。

C行動変数
 製品に対する知識、態度、使用状況などの行動変数により市場を細分化することもあります。例えばビール市場では、愛飲家をヘビー、ミドル、ライトといった飲用量で分類することで、きめ細かなマーケティング展開を可能としています。

細分化の条件
 市場細分化が有効であるためには、@市場が定量的に把握できること(測定可能性)Aそれを構成する人に実際に接触できること(到達可能性)B商品・サービス戦略を行うに値する規模があること(維持可能性)C社内資源がセグメント化に呼応して足りていること、が必要となります。