第9章 広告と広報活動

[広告の種類3] 比較広告

単純比較にとどまらず、競合商品・サービスに対する優位性を強烈にアピール。

比較により優位性を強烈にアピール
 「比較広告」とは、広告の中で、直接競合する他社製品・サービスなどを引き合いに出して比較し、自社製品・サービスの優位性をより強くアピールする広告表現手法です。広告としてのインパクトが強いだけでなく、公正かつ客観的な比較であれば、エンドユーザーにとっては有益な情報となります。
 比較広告は、アメリカなどで盛んに取り入れられている広告手法の一つです。しかし日本では、自社の従来製品との比較を行っている広告は少なくないものの、競合商品と比較するタイプの広告はあまり多くはありませんでした。その理由は、比較広告は、他社商品に対する誹謗・中傷色が強くなりがちであるため、日本の国民性に合わないといわれてきたためです。
 公正取引委員会も同様の趣旨から、比較広告は望ましいものではないといった立場でしたが、社会的認識の変化を受けて、比較広告に関して次のような指針を発表しました(1987年)。それは、消費者保護と広告の公正競争の促進を図るため、「客観的データを用いて自社銘柄の他社銘柄に対する優位性を主張することは可能」というものです。

注目事例も出現
 わが国でも比較広告を展開できる土壌が整ったことにより、比較広告も徐々に増えてきました。
 輸入車メーカーが仕掛けた国産車との比較広告や、JR東日本のTVCMによる比較広告が注目を集めたこともありました。JR東日本の比較広告は、移動手段としての新幹線の効用を自動車のそれと比較することにより、新幹線の効用がいかに高いかを訴えたもので、商品の単純な機能比較ではなく、商品の利用シーンを想定した効用をテーマにした斬新さに注目が集まりました。