第9章 広告と広報活動

[PR活動の種類3] 社会貢献活動(フィランソロピー)

コーポレート・シチズンシップの考えにのっとった企業の慈善事業。

企業の慈善事業
 フィランソロピーとは、英語で「慈善事業」を意味する言葉で、企業が社会に貢献するための奉仕活動を行ったり、財団や各種活動に寄付金を供出して協力したりする活動を指します。「営利的組織体である企業も、社会の一員として、公益に貢献する活動にも参加すべき」とする企業市民(コーポレート・シチズンシップ)の考え方にのっとった活動の一つです。
 企業市民の概念は、経済社会が成熟期を迎えた1980年代に盛んになりました。社会貢献活動のほかに、地域活動に参加するなどの地域社会との関係づくり活動(コミュニティ・リレーションズ)やボランティア活動なども、企業市民の概念に基づく企業活動です。
 企業思想・企業文化を具体的な活動の形に変えて世に示すことになるこうした企業市民活動は、それ自体が一つの社会に向けた企業からのメッセージとなります。このような活動は、企業の社会的イメージの醸成に寄与し、企業と市民との関係づくりに貢献するばかりでなく、自社社員のモラールアップにもつながる大切な役割を担うものといえます。

社会貢献活動の領域
 社会貢献活動には、自社業域関連を中心とした学術研究に対する各種援助や研究機関の設立などをはじめとして、福祉施設への援助、地域活性化への協力、スポーツ施設や美術館・博物館運営といったスポーツ・文化面での振興活動、国際交流活動、地球環境保全活動など、さまざまな領域にわたります。これらの中で文化・芸術関連における支援活動は、「メセナ」と呼ばれます。
 低成長時代の昨今では、こうした直接利益換算できない公益活動に対する企業の取り組みは縮小化傾向にあるのも事実ですが、企業が社会的存在である以上、社会貢献活動の意義は決して過小評価されるべきものではありません。