第9章 広告と広報活動

[PR活動の種類5] 顧客相談窓口

クレームを通じて顧客を自社ファンに変えていくことが重要なポイント。

顧客接点の重要性
 マインドシェアが競争優位の鍵を握るようになってきた今日、マインドシェアを高める活動の一つとして、顧客接点における顧客対応のあり方が重視されています。
 企業にとっての顧客とは、中間的顧客である取引先や内なるサポーターである自社社員も含まれますが、一般的には外部の顧客であるエンドユーザーがその中心といえるでしょう。エンドユーザーに対する人的な対応窓口として、多くの大企業はお客様相談専用電話を設けていたり、ホームページを媒介としたWeb上での対応を行っています。

クレームは顧客満足度獲得の原点
 これらの窓口などを通じて、企業のもとに目に見える形で届けられるクレームは、不満の全体量からすると、ごく一部に過ぎないものです。しかし、そのクレーム処理をいかに行うかが、そのお客様を自社ファンに変えていくための重要なポイントになります。また、表出されたクレームは、その背後にある無言の不満を発見するのに有効な手掛かりを与えてくれます。目に見えない不満が顕在化する前に改善・解消を図ることを可能にするものですから、クレームは広報活動において非常に重視すべき情報源といえます。
 満足感というものは、予期していなかったレベルの対応を受けたときに急激にレベルが上昇するといわれています。具体的に持ち込まれたクレームには、対処療法的に処理するのではなく、最良レベルでの対応を実行することによって、そのお客様の自社に対する評価をマイナスからプラス領域に変えることも可能となってきます。逆に、顧客の不満足を放置するばかりでは、不満足層はもはや顧客ではなくなるばかりでなく、対応を間違えてしまうと企業にとってネガティブな情報を広めるアンチファンを増やすことにもなりかねません。