第10章 消費者意識と購買行動

[消費者意識3] マズローの欲求階層説

人間の欲求は5つの段階に分けられ、低次〜高次の欲求へと除々に動機づけられている。

欲求階層説とは
 人間は常に何らかの欲求を抱えて生きています。マズローは、人間の欲求を以下の5つの段階に分けるとともに、低次の欲求から高次の欲求へと除々に満たされていくよう動機づけられているとしています。
@生理的欲求 食物、睡眠、排泄といった、生存のための欲求。
A安全の欲求 住居、衣服など自分を安全に守る・もしくは安定させることの欲求。
B社会的欲求(所属と愛の欲求) 集団に所属する、仲間に受け入れられる・愛されるといった社会との関係を持つことへの欲求。
C自我・自尊の欲求 他人に尊敬されたい、名声を得たいといった欲求。
D自己実現の欲求 自分の潜在能力を最大限に顕在化し、目標を成就・達成させたいという欲求。

マーケティングの視点から見ると
 マズローの欲求階層説は、多くの示唆を与えてくれます。安定した生活を手に入れ、モノは飽和状態にあるという環境で生活する日本の消費者の場合、最高レベルの「自己実現の欲求」が強まっているといえます。
 この消費者の「自己実現欲求」は、生活のあらゆるシーンにおいて顕在化しています。例えば、下位レベルの「生理的欲求」に該当する食品であっても、調理法や盛り付けなどを通して、消費者の「自己実現欲求」が求められてくるのです。そのため、新商品の開発やコミュニケーション手法、販売手法だけでなく、売り場づくり、プロモーション企画などマーケティングのあらゆる分野において、この消費者の「自己実現欲求」に対応した、自分らしさを表現できる仕掛けを用意することが重要となっています。