第10章 消費者意識と購買行動

[消費者意識7] プロシューマー

自分に合ったモノを自分で作ろうとする、生産者と消費者が一体化した新しいタイプの人間像。

プロシューマーとは
 生産者(Producer)と消費者(Consumer)が一体化した、新しいタイプの人間像を意味しており、A.トフラーが著書『第三の波』で用いた言葉です。
 かつての農耕社会では、ほとんどの人間が生きるためにプロシューマーとして自給自足の生活をしていました。現代におけるプロシューマーは、日曜大工や自家農園づくりに代表されるDIY(Do It Yourself)志向を持っており、モノを作る過程に価値を見出し、楽しんでいるという点で、過去のプロシューマーとは大きく性格が異なります。

生産者と消費者の距離が短縮
 消費者が生活者として自分らしさを表現することを日々追求している今日では、消費者は既存の商品では飽き足らず、自分のニーズを満たすモノを自らの手で作ろうとします。さらに、作ったモノを自分で使うことにより、その改善点が使い手の観点からも把握できます。これからのマーケティングは、これら現代のプロシューマーの視点を積極的に吸収することが重要となっており、結果として、彼らが既存の生産者と消費者との距離を縮める存在となっています。

情報化の流れの中で
 トフラーの言う『第三の波』とは農業化(第一の波)、工業化(第二の波)に続く情報化の波を指しています。パソコンの普及に伴い、消費者が自分の考えや価値観をインターネットを用いて発信(生産)したり、他人の意見に反論することが盛んに行われています。また、ネット上のバーチャル・ショッピングの浸透など、消費者が気軽に売り手サイドに立つことが可能となっています。
 双方向的マルチメディアの発展により、一般個人における情報化の浸透は、今後もさらに進むものと考えられます。ネットを通じて情報の生産・消費を積極的に行うプロシューマーは、今後もさらに増加することが予想されます。