第10章 消費者意識と購買行動

[消費者意識8] 消費者参加

消費者の欲求をより具体的に、直接的に捉える仕組みづくりが、今後の消費者ニーズ把握の近道。

新しい生活スタイルの出現
 マーケティングの基本は消費者ニーズへの対応ですが、最近では、こうした概念では把握できないような消費者の動きが顕著となっています。その一つがプロシューマーと呼ばれる生活者の出現です。消費者の中に、自分らしいモノや自分が本当に好きなモノを作り出すことに価値を見出す人が増えつつあります。特にパソコンなどの情報関連やレジャーなどの分野では、プロの手を頼らずに納得のいくモノを作る玄人はだしの人も出現しています。モノづくりにおいては、専門家とアマチュアの境界線が次第にあいまいになっているのが現状なのです。今後、消費者ニーズを把握するときには、このような新しい生活スタイルを志向する生活者の発信情報をいかにキャッチするかも、重要なテーマとなってくるのです。

消費者参加の発想
 情報化の進展と共に、消費者の意識や行動はより早く、ダイレクトに表面化するようになりました。このような状況下で注目されるのが、消費者欲求を直接的に、具体的に捉える仕組みとしての消費者参加型マーケティングです。
 例えば酒類ディスカウント・ストアの某店では、数種類のメニューから顧客が好きなビールを選び、製造に参加できるという商品を販売し始めました。また、車市場ではボディーカラーやオプションを自由に選べるカスタマイズ・サービスが人気です。いずれも消費者参加を意識した仕組みといえます。

生産者主導から消費者主導へ
 モノづくりの基本が消費者ニーズの把握にあることは今も昔も変わりませんが、企業が売りたい商品を押しつけるだけでは、現代の消費者は購入に至りません。消費者を購買行動に駆り立てるには、モノづくりから販売手法やプロモーションまでの様々な段階で消費者参加の仕組みを作り、消費者主導型のモノづくりを心掛けることが重要といえます。