第11章 マーケティング情報とデジタル・マーケティング

[マーケティング・システム1] 情報の共有化

垂直情報処理型から水平情報処理型に移行することで、営業情報の共有化が進む。

企業の情報化の変遷は
 一元管理からネットワークによる分散化、垂直管理から水平管理といっても過言ではありません。かつて販売情報や営業情報などの一連のマーケティング情報は、ダム端末から入力してメインフレームで一元管理した上で、帳票へ出力するというプロセスが一般的でした。
 しかし、今日のようにプロダクトサイクルの短縮化や市場動向の変動が大きくなり、過去のデータを一元的に管理するこれまでの情報管理システムでは、市場変化のスピードに対応するのが困難となってきました。このような市場環境の変化に対応するために求められたのが、リアルタイムの情報管理と情報の共有化なのです。

ITの進化が後押し
 リアルタイムの情報管理と情報の共有化を実現させたのは、社内のコンピュータをネットワークするLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)や本社と支社間、取引先をネットワークするWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)です。加えてグループウェアの進展によって、個々の社員が持っているノウハウ(私的所有情報)を集積・共有することで全社のマーケティング情報同様、企業の知の集積・共有が可能となったのです。特に個人のノウハウの共有は、顧客動向や販売傾向など、数値化しにくい情報が水平展開されるため、ネットワーク上でOJTが実現し、結果的に社員の業務の質的向上と、時間とエリアを越えた付加価値をもたらしました。もちろん原則として、あらゆる情報は、いつ、どこでも、誰でも、リアルタイムで取り出すことが可能となり、意思決定の迅速化につながります。