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NRCプレゼンス「エンタメ接触データから見えてくる若者消費のヒント」

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 近年、若者層の調査依頼が非常に増えている。しかも若者消費行動の細かな理由までしっかり把握したいという強いニーズがある。
ゲーム・エンターテイメント分野の消費を支えているのは30代以下の若者である。そのゲーム分野は市場の拡大がすさまじい勢いで進んでいる。そこで、若者というセグメントに造詣が深いゲーム・エンターテイメント分野で活躍している2社を迎え、若者の消費の切り口のヒントを掴みたい。

エンターテイメント接触動向から見える最新の若年層消費の動向

●講演者

但木 一真 氏

カドカワ株式会社 ゲーム情報ポータル事業本部
マーケティングプロモーション部

プライスウォーターハウスクーパース株式会社で7年間、サプライチェーン・マネジメントのコンサルティング業務に従事。自動車組み立て企業、アパレル企業、ぱちんこ・パチスロ製造企業などのプロジェクトに参画。
2016年7月よりカドカワ株式会社のマーケティングプロモーション部に加わり、「ファミ通ゲーム白書」発刊やeb-iサービスに携わる。

●講演内容

若者は、いつでも誰かとつながりたい

 10代20代の4人に1人がプレイしているポケモンGO。人気の理由は、ポケモンが好きだから、周りの人がプレイしているから、家族や恋人・友人と一緒にプレイできるから、ポケモンが本当にそこにいるように感じるから等様々だが、その深層的な欲求は、人とコミュニケーションを取りたい、現実世界でもポケモンに触れ合いたいということではないだろうか。
 日常的にオンラインで交流している若者は、総じて、いつでも誰かとつながりたい、世界とつながりたいという欲求があり、つながるために消費するという欲求原理があると考えられる。
 そんな若者に応えるために人と人、人と世界とつながるという仕掛けを作る、すなわち拡張するエンターテイメントが出てきている。

若者は何かを共有するという目的のために消費している

 20代の9割、10代でも半分以上がスマホを保有し、若者のSNS利用が当たり前になっている今、仕事上でのつながりも電子的なコミュニケーションで求める若者が増えてきている。 若者は何かを共有するという目的のために消費しているのではないかと思われ、それに対してエンターテイメント業界は、どれぐらいの人とつながるのかという領域ごとに様々な仕掛けを提供し、若者の欲求に応えている。
 親しい人との仕掛けとしては、コミュニケーションのネタになるよう、写真、音源、動画などSNSで友人、知人に発信しやすいコンテンツを提供する。例えば音楽業界では、ライブに注目し、SNSで口コミを広げてもらうような仕掛けを施している。
 トライブとの仕掛けとしてはコミュニティ。共通する趣味の人達が集まり、語り、新たなコンテンツを作り出すための場所を提供する。例えば「スーパーマリオメーカー」は、自作のステージをアップロードでき、全世界のプレイヤーからコメントがもらえるプラットフォームを提供することで大ヒットした。
 他人とつながる仕掛けとしては、興味・関心を持たない潜在顧客層に対して、認知を拡大するためのイベントを開催する。「イングレス」という位置情報ゲームの面白さは、たくさんイベントが開かれ、プレイヤーの輪が広がることにあり、イングレス開発者は自分達がソーシャルネットワークそのものを作ったのだと話している。

若者は外で仲間と楽しみたい

 究極的なエンターテイメントの形とは、「本当にそこにいる」という存在感を増していくことではないだろうか。
 若者は総じて外で仲間と楽しみたいという嗜好が強く、外に連れ出すエンターテイメントがたくさん出てきている。
 例えば、位置情報ゲームやリアル脱出ゲームは、現実世界を舞台として壮大なゲームの世界を体験させる。聖地巡礼もまた、コンテンツと観光を融合させて物語をより深く体験させることであり、これも世界との深いつながりを作っていると言えるのではないか。
 現実の世界を舞台として組み込むことで、世界との深いつながりを作り、若者に消費を促すことを「世界を拡張する」と呼んでいる。
昔からメディアミックスは言われており、カドカワも複数メディアを使い、世界との深いつながりを作ってきたが、今時の拡張型のエンターテイメントは現実世界を使い、世界との深いつながりを作る。
 制作側が世界を作り込み新しい要素を追加するメディアミックスに比べ、拡張型はユーザーが自由に世界を作り込み新しい要素を自由に追加する。
「世界を拡張する」という考え方は他の産業でももう使われており、例えばTHE NORTH FACEは中国で展開する際に、「神秘の山でキャンプをしよう」というスローガンでマーケティングプランを作り、市場を拡張させた。また、Airbnbは現地の人と知り合う旅ができるかもしれないというイメージで民泊を広めて拡大したが、これも世界を拡張したと言えるのではないか。

若者の消費原理にあるのは「つながり」

 ポケモンGOによって急速的に認知が向上した拡張現実(AR)は、現実世界に何か違う意味を与えるという技術において多大な役割を果たす。スマホさえあれば実現できるARは、インフラがすでに定着している中で今後爆発的に普及し、世界を拡張するエンターテイメントがもっと出てくると思われる。
 これまで若者は自己実現のために消費すると思われていたが、若者の消費原理にあるのは「つながり」というキーワードである。それに応えて拡張するエンターテイメントからヒントを得て転用することで、いろいろな産業でマーケティングプランを作っていけるのではないか。

若者の消費原理を捉える仕組みとしての「eb-i」

 「eb-i」は、どのようなジャンルのエンターテイメントに接触したか、どれぐらい使ったかなどの情報を取得し、様々なジャンルを横断的に分析して、パネルの属性、行動志向によりクロスの分析ができるのが強みである。
 我々は26万人のパネルモニターに週次調査をしており、毎週1万人以上の有効回答を得て、多角的視点でエンターテイメント嗜好を調査している。

ゲームマーケットの変遷に伴うゲームユーザーの行動変化

●講演者

参鍋 誠二郎 氏

株式会社ゲームエイジ総研
取締役 シニアコンサルタント

大手ゲームプラットフォーマー、パブリッシャーの経営企画/マーケティング部門責任者として在職。
2009年ゲームエイジ総研入社。

●講演内容

若者の特徴を捉えながら、行動を見ていくことが重要

 その時代によって若者の特性は変化しており、時代の若者の特徴を捉えながら、若者の行動を見ていくことが重要である。
 株式会社ゲームエイジ総研は、2005年12月設立。国内唯一のゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファームであり、ゲームビジネスのリサーチに必要なユーザー基礎情報を付与した40万人以上の調査パネルを完備し、各種マーケティングリサーチを中心に活動している。
 ゲーム専用機の歴史は事実上ファミリーコンピュータ(ファミコン)が発売された1983年から始まったと言える。最初に参入したのが任天堂とセガであり、1994年にソニーが参入、2010年ぐらいからは専用機よりもスマホが主流となっている。
 黎明期である1983~1993年は製品志向の時代。市場はどんどん成長し、メーカーの最大の役割は製品を市場に届けるというごくシンプルなものだった。
 1994~1997年は宣伝志向の時代。メッセージ性のあるCMを大量に投下し、ゲーム自体が市民権を得たのがこの時期である。
 1998~2009年は顧客志向の時代。市場は成熟し、売れるタイトルと売れないタイトルの差が顕著になったことから、シリーズ物、リメイク物が多くなってきた。ユーザーの志向が多様化し、ターゲットに合わせてきめ細かい最適化したマーケティング活動が必要になってきた。
 2010年から、ソーシャルゲームの大ブームが起きたのは記憶に新しいところ。このあたりからゲームマーケットの主役はそれまでのゲーム専用機からフィーチャーフォンやスマートフォンのいわゆる汎用機に代わった。
 汎用機の第2期(2012年~現在)はスマートフォンの時代である。スマホの普及拡大が本格化し、ゲーム専用機も決して見劣りしない表現力でリッチなコンテンツを遊べるようになった。2012年の「パズル&ドラゴンズ」の大ヒットによって一気に市場が大きくなり、それ以来も順次大きなソフトが出て、去年は1兆円に達する規模にまで成長している。

日本は4分の3がモバイル(スマホ)を使用

 去年のゲーム専用機の市場規模を見ると、全体としての3兆3,417億円のうち、日本は3,302億円。対して北米は1兆2,259億円、欧州は1兆879億円で、かつて日米欧でグローバル市場を3分していた時代と比べて、国内と欧米市場との差が広がっている。ゲーム市場規模はアジアだけで2兆に達しようとしており、スマホゲームの半分以上をアジアが占めている。
 国別で言うと、日本が世界最大規模を持っており、日本では4分の3がモバイル(スマホ)が占めている。それに対し、欧米ではPS4が売れていることもあってゲーム専用機の市場の方が大きく、北米は6割弱、欧州は7割ぐらいである。
 2005年と比較すると日米欧全体の市場規模が大きくなっており、伸び率を比較すると、日米欧ともに2倍から3倍に膨らんでいる。そして、それ以上に大きな変化が見られるのが、専用機とモバイル、オンラインの市場規模であり、日本ではモバイル、欧州ではオンラインゲームが大きく伸びている。

世代の消費行動や癖をいかに的確に捉えるか

 人は生まれ育った環境や世代背景などの環境要因の影響を受けて年齢を重ねていくものであり、時代で若者の特徴も変化していく。その製品やサービスを売っていく中で、ターゲットとなる世代の消費行動や癖をいかに的確に捉えられるかが、非常に大切である。そういったことも踏まえて、各世代がこれまでに接触・体験してきたエンタメコンテンツやその結果形成された嗜好性や消費行動の特徴から独自のユーザーセグメンテーションを定義してみた。
 1951~1961年生まれは「高度成長期のテレビっ子」と名付けた。インターネットへのファーストコンタクトは中年になってからで、ゲームへの接触も社会人になってから。特性や価値観としては「しらけ、諦観」。
 1962~1969年生まれは「バブルの申し子」。ネットに触れたのは社会人になってからで、ファミコンは学生時代に出てきた。特性や価値観としては「消費こそ正義」。
 1970~1977年生まれは「ファミコン世代」。学生時代にネットが登場し、ゲームに触れたのが思春期時代。特性や価値観としては「シニカル、皮肉屋」
 1978~1985年生まれは「プレステ世代」。初めてゲームに接触したのがスーパーファミコンで、ソニーに強いシンパシーを感じているのが特徴。特性や価値観としては「オタクの一般化」。
 1986~1993年生まれは「デジタルキッズ」と命名した。物心ついた時にはインターネットが普及しており、初めて触れたゲーム専用機はプレステ2という世代。iPodが登場し、PS3やPSPなどに触れた。特性や価値観としては「ゆとり、協調、空気を読む」。
 1994~2000年生まれは「ネットネイティブ」と名付けた。生まれた時にはネットがあり、初めて触れたゲームはDSないしPSPで、思春期になるとスマホが普及してきた。特性や価値観としては「浪費はバカ(情弱)、シェア」。
 デジタルキッズ世代までは所有欲はあり、自分のものにして愛でるという文化を持っているが、ネットネイティブ世代はつながることに価値を見出すものの財布の紐は堅く、無駄遣いせずに厳選してお金を使う世代と言える。

各世代の特徴をクロスさせてマーケティング活動をする

 専用機とモバイルのアクティブユーザーは2014年春先に逆転。2012年には専用機の約半数でしかなかったスマホゲームのユーザー数は、最新の状況では専用機の2倍以上となっている。
 専用機のみのユーザーは361万人、スマートフォンのみのユーザーが1,888万人で、560万人ほどが専用機、スマホ両方を楽しんでいる。
 特徴としては、専用機のみと両方プレイするユーザーには男性が多く、ゲーム専用機のみで最も多いのが10代前半、スマホのみは女性が半数を超えている。世代分布としては、20~40代までほぼ同じ規模が分布しているのが大きな特徴である。
 ポケモンに関しては20代前半が多いが、特に専用機ユーザーが20代前半に集中している。
 3DSソフトのパズドラZは親子で楽しんでいる姿が見えてくる。パズドラZは、テレビCMの接触率が非常に高く、スマホのパズドラは口コミが多いというふうに、同じシリーズ(IP)でも特徴が違う。
 ファイナルファンタジーで比較すると、男女比、年齢構成にあまり差はないが、情報接触に関してはPS4の方は口コミ接触率が高いが、スマホに関しては自ら能動的に情報接触をする人が多い。
 同じ様なIPでも専用機とスマホではユーザー構成に大きな差があるものがあり、各世代の特徴をクロスさせて、特徴を踏まえたマーケティング活動をしていくことが重要である。

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