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NRCプレゼンス「20~34歳の若年層に対するマーケティング戦略考」~CSV(共有価値創造)の観点による消費者アプローチ~

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 生活者の意識や行動は間違いなく変わってきており、ミレニアル世代の考えがわかれば、企業が社会の変化にどう適応し、何をすれば価値創造ができるのかが見えてくるのではないか。今回はミレニアル世代の価値観を紐解いてみたい。

「新たな消費者像をつくるミレニアル世代」20~34歳を突き動かすものは何か

●講演者

藤原 裕之 氏

一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員

国際投信委託株式会社(現国際投信投資顧問)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析など。日本リアルオプション学会所属。著書に『2013年版 金融時事用語集』(金融ジャーナル社)。

●講演内容

ミレニアル世代とは

 日本では「ゆとり世代」と呼ばれるミレニアル世代(M世代)の一般的な定義は「1980年代以降に生まれ、2000年以降に社会に出てきた20~35歳の若者層」であり、人口比率から見ると、量的にプレゼンスを増してきたとは言い難い。
 にもかかわらず、経済同友会がM世代への対応が日本企業の成長にとって不可欠であると提言するなど、今、M世代が注目されている。その理由は、M世代が持つ価値観や行動原理にあり、M世代を理解することで、これからの企業や投資、社会全体のあるべき姿を見ることができると考えられる。

グローバル規模で変化する価値観

 今は「収束から拡散」の時代へ変化しているといわれている。日本における収束の時代とは、高度経済成長期からバブル期を指すが、このころの消費者には欲しいものリストがあり、それを満たしていくというのが消費に表れていた。行動もパターン化し、共通の話題や行動原理に従って皆が消費行動を取ってきた。
 それに対し拡散の時代は、一人一人が違う物差しを持ち、その物差しでコミュニティーが形成されていく。コミュニティー同士で情報交換がなされ、価値観がどんどん多様化している。その拡散の時代を象徴するのが、ミレニアル世代である。

ミレニアル世代の「価値観」

 M世代の消費行動や生活パターン、投資、社会を変える潮流の原動力は、「自分ごと意識」と「つながり意識」の2つであるといえる。
「自分ごと意識」とは、世間の基準や物差しに合わせるのではなく、自分の物差しでいろいろな価値を判断することだ。自分にとって価値あるものを友人や社会と共有したいという意識も強く、自分から世間に発信し、友人や世間からのフィードバックを得て、さらに自分が成長していく。
 今ある物の価値を見直して自分にとって本当に価値があるものを残すという「断捨離」も「自分ごと意識」が生み出した現象。それが顕著に出ているのが音楽業界だといわれており、アナログレコードがM世代で見直されている。M世代は「自分ごと意識」に刺さったものはしっかりと消費するようだ。

 「自分ごと意識」に「つながり意識」がセットになることで、M世代の価値観がよりクリアになる。
 M世代の消費では常に「自分以外の誰か」が意識され、「つながり」や「大義」が重視される。
「つながり意識」を象徴する現象が「食」の世界で起きている。「生活を豊かにする食事の種類」のアンケートで、「家族揃っての食事」と答えたのは20代が最も多かった。M世代は家族や友人とのつながりを感じる大切な場として「食」に価値を見いだし、「食」を通じていろいろな消費をしている。
 企業発の情報より個人発の情報に価値を感じ、農業やボランティアがブームになるなど、身近な充実感、一体感がM世代を突き動かしていると思われる。

 これらM世代の価値観や行動原理は、シニア層を含む上の世代へも波及している。
 つまり、M世代の価値観は彼ら固有のものではなく、社会全体が進もうとしている変化を反映しているのではないだろうか。となると、社会の一部である企業や投資の世界も当然変わると想定される。

ミレニアル世代が「企業」を変える

 コモディティ化の強い圧力で経済的価値の限界が見えてきた中、社会的価値を付加することが企業の武器となり得るようになってきた。
 CSV経営では社会的価値を創出することで、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」を目指すのが根幹である。
 機能的価値に新たにシェアリングやAI、IoTを加えることで、自分ごと意識に対応する形になり、商品に「大義」を宿す社会的価値によってM世代のつながり意識を刺激する。そして、情緒価値、驚きの演出やワクワク感などの空間価値を提供することで、自分ごと意識とつながり意識の両方を刺激するというように、CSV経営とM世代・社会全体の価値観が融合する時代になってきた。

<具体例>
  • 「シェアリング・エコノミー」:カーシェアや民泊など、「自分ごと意識」を持つM世代のニーズにマッチしているほか、「情緒価値」も生み出す。
  • 「IoTビジネス」:その本質がデータであることから、M世代の多様化している価値観を抽出、把握できる。
  • 「Google」:典型的なCSV企業であり、「Project Loon」など、社会的課題を念頭に置いた事業に取り組む。
  • 「TOMS Shoes」:コーズ・マーケティング(大義に基づいたマーケティング)。日本でも震災以降、応援消費のようなコーズ・マーケティングが注目されるようになった。
  • 「ドン・キホーテ」「ヴィレッジ・ヴァンガード」:ネットで「買ったつもり」になるシミュレーション消費に立ち向かうために、カオス体験を提供。

ミレニアル世代が「投資」を変える

 投資の世界でも、社会貢献型のマネーを取り込むようなSRIファンドが増えてきた。M世代の価値観に沿ってCSV経営を行うことで企業の株価が上がっていく時代になり、世界のSRI市場は運用資産総額の30.2%に相当する21.4兆ドルになっている。
 日本のSRI市場はまだまだだが、機能価値に応じたIoTやAIの盛り上がりを受け、それをテーマとした投資信託の設定が相次いでいる。

 また、近年非常に伸びているのがクラウドファンディングである。
 一つ一つの事業に意志のあるお金が直接届く仕組みで、受け手・出し手ともに20~30代が多い。金銭的なリターン以外に、事業者に対する「応援・共感」がM世代を動かしている。クラウドファンディングはM世代のつながり意識を非常に刺激するという要素で盛り上がりを見せている。

 ただ、社会的価値のある事業でもリスクはあり、従来の金融機関がしっかりと仕組みづくりをして、リスクリターンを管理していかなければならない。金融機関はSRIファンドのようなものを浸透させるような形で、M世代を対象にマーケティング活動をする必要があるといえる。

まとめ

 ①M世代の価値観には「自分ごと意識」と「つながり意識」があり、「自分ごと意識」はIoTやシェアなど、企業価値の機能価値に結びつく。それが投資行動の変化として、IOTやAI関連ファンドに結びついている。
 ②「つながり意識」が社会的価値という形でCSV経営に結びつき、SRIファンドやソーシャルファイナンス、クラウドファンディングという形で投資行動に結びついていく。
 これらの流れで、M世代がこれから企業行動、投資行動に影響を与えるようになると考えられる。

「企業と顧客の長期的な関係づくり:カスタマー・トラストスコアのご紹介」

●講演者

大坂 岳史 氏

株式会社U’eyesDesign
デザインコンサルティング事業部 マネージャー

2001年、株式会社ノーバス(現U'eyesDesign)入社。生活者調査に基づくユーザーインタフェースのデザイン開発支援を推進。近年は、エスノグラフィリサーチなどを援用した、商品・サービスなどの開発支援の提案・実施に従事。日本マーケティング学会所属。

カスタマー・トラスト・スコアとは

 5分野10設問で、企業と顧客とのエンゲージを数値的に指標化することができ、企業の継続的な成長ポテンシャルを見ることができる。カスタマー・トラスト・スコアは企業の長期的な成長の指標となると考えている。

カスタマー・トラスト・スコアの開発背景と目的

 従来のマーケティングはロイヤリティーでモノを説くという考え方だったが、現状はロイヤリティーではなく、エンゲージという考え方でモノを作って売っていかなければならないのではないか。
 ネットワークの時代、サプライヤーが全部をお膳立てして与えるのではなく、サプライヤーは場を提供して顧客のモチベーションとうまくつながりながら、商品を一緒に作る形にしていく。それにより商品は強くなり「早くて安くてうまい」というようなモノが作れるのではないだろうか。
 エンゲージメントには参加(経験の共有を一緒にできる状態)が必要であり、そこから共創というプロセスが生まれてくると考えている。
 エンゲージメントで重要なことは、企業やブランドと顧客に共有可能な情緒的な親密感が生まれているかどうかであり、顧客とともに共感できる事業コンセプトと、それを体現し、表現する具体的な取り組みがなされていることが望ましい。
 ただ、いきなり質的なところからやっていくのは難しく、取りあえず自社と顧客のエンゲージがどういう状況にあるのかをわかりやすい数値情報として把握するというのが、カスタマー・トラスト・スコアの目的になっている。

カスタマー・トラスト・スコアの構造と効果

 カスタマー・トラスト・スコアはアンケートで行う。「満足度」「推奨意向」「利用意向」「参加意向」「信頼度」を2つに分割し、5分類・10項目で回答結果を回収する。質問の回答は4段階とし、「あてはまる」「ある程度あてはまる」の回答をした人数割合から、「あてはまらない」の回答をした人数割合を引いてスコアを算出。10項目を合計してカスタマー・トラスト・スコアを算出。
 企業の継続的な成長ポテンシャルを測る指標として有効であるかを検証した結果、各業界群ごとに相関性が確認された。
 スコアを構成する各項目の関係性と特徴からスコアが上がる構造を分析したところ、情緒的満足を起点にして、推奨から信頼につながり、参加を促すという関係性が強く現れる構造ができれば、エンゲージメントは上がり、継続的な成長が望めると考えている。

カスタマー・トラスト・スコアを起点とした、ブランド構築

 カスタマー・トラスト・スコアは、自社と顧客とのエンゲージメントの現状確認に使ってもらいたい。顧客の把握とチャンスの発見をし、その後「自分たちは何を目指すのか」を会社の中でディスカッション、共有する。顧客から得た発見と自分たちの思いを収束し、グランドコンセプトを定義してシェアしていくことが一番大切なポイントだと考える。
 その上で、個別の商品開発のコンセプト定義をしたり、運用、販売コンセプトを決めたり、Do、Check、Actionにつなげていくが、その最初の起爆剤としてスコアを使っていただきたい。

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TEL 03-6667-3400(代表)
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