第10章 消費者意識と購買行動

[購買行動3] 選択的消費

価値観の多様化により、消費者は人に頼らず自分の基準で選択的消費を行っている。

消費者の価値観
 日本では、バブル崩壊前後から消費者の価値観が多様化し始めました。そして、高価格品が必ずしも自分に相応しい商品とは限らないという認識が急速に浸透した結果、自分が本当に求めるモノやサービスを、自らの基準で選択して購入するという、選択的消費行動をとる人が多数となってきました。

選択的消費の理由
 選択的消費が消費行動の主流となった理由の第一に、バブル型消費への反省があります。モノやサービスの購入動機を、“皆が買うから”“流行っているから”など他人に依存した形の消費に対する反省です。第二に、将来への漠とした不安の存在があります。これまでのような右肩上がりの所得増加が期待できない不安、情報通信革命といわれるような産業構造の急速な変化からくる将来的な雇用不安などです。第三には、消費者の身の回りがモノで飽和状態になっていることです。そのため、モノの購入にあたり、物理的機能に加えて自分にマッチしているかどうかという情緒的要素に、より一層の価値を見出すようになっています。最後に、モノやサービスに関する豊富な情報の存在が挙げられます。現代は、商品選択に関する様々な情報を、インターネットなどで簡単に集めることが可能です。その結果、消費者は多様な角度からモノやサービスの価値を比較検討することができるのです。

選択的消費の特徴
 選択的消費には次のような特徴があります。
@特定商品の選択 価値観の多様化から、消費者の購買傾向が品種選択から品番選択へと移行していることを指します。
A価値+好みの選択 消費者が単純に安いだけのモノには値ごろ感を感じずお金を払わなくなっていることを指します。
Bまとめ買いの減少 価値観の多様化で、家族も個別化した結果、家族単位のまとめ買いの機会が減少していることを指します。