第2章 マーケティングと企業戦略
[全社的戦略1] 従業員満足(ES)と企業戦略
ESの必要性
今日の企業経営における最大の課題はCS(顧客満足)の実現である、と言っても言い過ぎではありません。そのためにどの企業も、CSの最大化に向けて、自社経営資源の最適な配分に頭を悩ませています。
経営資源の中でも、CS実現の最大の担い手は従業員です。従業員一人ひとりがお客様の視点で発想し、行動することが、CS実現において重要となります。そして、従業員がお客様の視点を持つためには、何よりも自分の仕事に対する誇りと自信がなくてはなりません。「従業員満足(ES)」とは、このような誇りと自信を生み出す源泉であり、それが結果としてCSの実現に結びつくのです。
ESの今日的意義
ESというと「豪華な社宅」「レストランのような社員食堂」といった福利厚生に目が行きがちです。もちろん、このような施設の充実もESの要素のひとつではありますが、今日求められているESとはハード面の充実だけではなく、人事評価制度や賃金制度、自己申告制度などのマネジメントソフト面の整備による「従業員が自己の能力を最大限に発揮し、充実した気分で毎日働くことができる環境づくり」なのです。したがって、これからのESは従業員の不平不満に対する対症療法的な施策ではなく、全社的に計画され、各施策が有機的に結びついた戦略的な“働きがいづくり”活動でなければなりません。