第3章 市場戦略と市場構造

[市場戦略の実際2] エリア・マーケティング

需要規模や消費者特性における地域差に着目し、地域ごとに戦略を策定・実施する手法。

エリア・マーケティングとは
 市場の地域差に着目し、地域ごとに戦略を策定・実施する手法を「エリア・マーケティング」と呼びます。成熟期を迎えた市場では、全国一律の施策はうまく機能しなくなり、地域ごとの需要規模やシェア、消費者特性に根ざしたきめ細かな戦略が求められています。

戦略的地域単位の設定
 エリア・マーケティングの実施は、地域単位を設定することから始めます。必ずしも、行政区分にとらわれる必要はなく、経済的・文化的特性、交通の状況、販売ネットワークやロジスティックスの状況によって独自に設定します。戦略の構築・実施・評価はすべてこれを単位に行われることから、設定には十分な検討が必要です。

エリア・マーケティングのためのデータ収集
 地域単位が設定できたら、地域単位ごとのデータを収集します。デモグラフィック(人口、世帯数、年齢構成など)、経済情報(所得水準、耐久財の保有率、小売店の売り上げなど)、自社・他社の戦力(店舗数、人員数など)および売り上げやシェアを把握しておく必要があります。更に消費者特性(消費行動、価値観、ライフスタイルなど)も具体的な戦略を構築する上で重要な情報となります。

エリア・マーケティング戦略
 具体的な戦略は、マーケティングの4P(製品、価格、流通、プロモーション)を地域特性に合わせてアレンジします。
 製品面では、地域により品揃えを変化させる戦略や地域限定商品を開発することが考えられます。
 価格については、都市部の大市場での価格を安く、地方市場での価格を若干高めにする戦略をとる例もあります。
 流通面では、地域単位を効率的にカバーできるシステムを構築することが重要であり、エリア戦略のカギとも言えます。
 プロモーションについては、地域の商慣行にのっとった戦術が必要であるほか、地方紙・地方テレビ局を活用した地元密着型のコミュニケーションなどが有効な手段となります。