第6章 流通政策と関連法規
[流通戦略2] 系列化政策
メーカーによる流通経路の支配
メーカーが自社の流通政策を川下まで浸透させるために、自社商品を扱う卸売業者や小売業者に対し、さまざまな支援策の提供と引き換えに自社との関係強化を求める政策を「系列化政策」といいます。
系列化により流通経路を抑えることができると、価格管理や販売管理がしやすくなるため、日本の主なメーカーは大なり小なりこの系列化政策を取っているといえます。しかし近年、この日本の特徴である系列化政策は、市場への新規参入を阻むものとして、海外から強い批判を浴びるようになってきました。
系列化の種類
系列化の種類としては次のようなものがあります。
@専売制 メーカーが自社商品のみを扱う契約を流通業者と結び、商品を提供するもの。他社の商品の扱いは制限されます。例としては、食品などの卸売業者の特約店制度などが挙げられます。
Aテリトリー制 自動車販売店がその代表例です。メーカーが販売地域を設定して、その地域での独占的な販売権を流通業者に与えるもので、該当地域外での販売は制限されます。
B店会制 流通業者を「店会」に加入させて組織化するもの。かつては松下電器が中小電器店を組織化したナショナル店会が有名でしたが、現在は改組されています。
C一店一帳合制 メーカーが小売店に自社商品の仕入先の卸売業者を1社に指定するものですが、独占禁止法に抵触するケースもあります。
系列化政策の今後
こうした系列化政策下では、店頭ではひとつのメーカーの品揃えしかできず、価格設定の自由度も制限されるといった欠点があり、比較購買志向や低価格志向を強める消費者ニーズとのギャップも大きくなっています。
また、あらゆる分野における量販店の著しい台頭もあって、系列化政策の効果は薄れており、メーカーはその見直しと販売網の再編を図っています。