第6章 流通政策と関連法規
[流通戦略3] リテールサポート
リテールサポートとは
卸売業者やメーカーが、小売業者の経営や販売促進などを支援する活動を「リテールサポート」といいます。特に卸売業者にとって、リテールサポートの実施を通じて小売業者と密接な関係を築くことは、自身の生き残りにとっても極めて重要な課題となっています。
具体的なサポート内容としては、財務や税務のアドバイス、POSシステムの提供やPOSデータ分析、棚割提案、マーチャンダイジング、売り場レイアウト作り、営業携帯端末を用いた情報提供などがあります。
ディーラー・ヘルプスとの違い
ディーラー・ヘルプスという言葉も同様な意味で使われますが、この場合、主たる目的は自社商品や自社取扱商品の販売促進です。
一方、リテールサポートは、あくまでも小売業者の繁栄を支援することによって、結果として自社商品や自社取扱商品の販売増加を目指すもので、近年、特に注目を集めています。
リテールサポートの事例
リテールサポートはアメリカで始まった活動で、食品卸売業のスーパーバリュー社の取り組みが有名です。
同社では、リテールカウンセラーと呼ばれる担当者が取引先の小売店を訪れ、経営問題から販売手法や顧客との付き合い方など、小売店経営に関するさまざまなアドバイスを与えています。このリテールサポートは基本的に無料ですが、専門的な内容のものは有料で、同社の収益分野のひとつとなっています。
この事例のように、小売業とより近い位置にいる卸売業者がリテールサポートをするのが本来の姿なのですが、日本では、卸売業者の資金力が弱い事情もあり、資金力に勝るメーカーによって行われるケースが多いようです。