第6章 流通政策と関連法規

[コラム ー流通こぼれ話ー サプライチェーン・マネジメントとは?]

 「サプライチェーン・マネジメント(Supply Chain Management=SCM)」とは、原材料供給者から消費者までを結ぶ一連の業務のつながりのことです。業務の流れは、

 開発→調達→製造→配送→販売

となります。ここに関わるのが、

 原材料の供給者→メーカー→卸売業者→小売業者→消費者

です。
 これまで、サプライチェーンを構成している各企業は、自社の利益だけを考えて、消費者から見れば納得しがたいことをしていました。例えば、メーカーは大量に商品を売るために卸売業者にリベートを出し、卸売業者は欠品を恐れて余分な在庫を大量に抱え、それらのコストは小売価格に転化する、というようなことです。
 このようなムダをなくして、サプライチェーンをひとつの流れと捉え直し、全体の最適化を目指す戦略的な経営管理手法が「サプライチェーン・マネジメント」なのです。
 目的は「消費者の利益を実現すること」です。このためには、サプライチェーンに関わるすべての業者が協力し合い、業務を改善し、お互いの利益を生み出すための活動に取り組まなければなりません。
 具体的には、非効率的な取引習慣の見直し、小売店での実売情報に基づく正確な需要予測と生産計画の策定、正確かつ迅速な情報伝達のためのネットワークづくりなどが挙げられます。
 これらの活動により、ムダな在庫の削減や品揃えの改善が推進され、その結果、よい商品を適切な価格で消費者に提供できるようになるのです。