第7章 販売形態と店舗施策
[商業立地5] ネットワーク型店舗
ネットワーク型店舗
業態間競争の激化や、消費者行動の変化、商圏特性の変化に対応しながら顧客吸引機能を高めるには、商圏内における店舗の役割からストア・コンセプトまでを根本的に見直す必要があります。そこで、新たな小売業の店舗機能として注目されるのが、「マザー店舗」と「サテライト店舗」の組み合わせによるネットワーク型店舗です。
従来のように各店舗が似通った機能や役割では、商圏の変化に対応できず、結果として消費者を十分に満足させることができなくなっています。これに対し、ネットワーク型店舗とは、個々の店舗の特性や立地条件などの諸条件を総合的に検討して、各店舗をそれぞれ相応しい機能に特化し、それらの店舗を相互にネットワークで結ぶことによって、全体として顧客の多様なニーズに対応するものです。
ネットワーク型店舗の事例
一般的にネットワーク型店舗は、マザー店舗とサテライト店舗によって構成されます。特にサテライト店舗は、商圏の変化に身軽に対応するためのスクラップ・アンド・ビルド戦略が立てやすく、店舗運営の効率化とコスト削減が可能になります。
このネットワーク型店舗を積極的に展開するのが、銀行業界や自動車販売業界です。銀行業界のマザー店舗は、預金や融資だけでなく、渉外などを含めた幅広い後方支援業務など、銀行業務としての総合的な機能を担当します。一方、サテライト店舗では、預金や融資の窓口業務のみに限定されるケースが多くみられます。