第7章 販売形態と店舗施策

[業態革新2] 小売業態の革新(2)

石油ショック以降、消費の質的な変化に対応した小売業態の多様化と現在。

B70年代後半〜80年代初頭(消費の質的変化)
 73年の石油ショックを機に、経済は低成長へと移行し、所得の伸び悩み、物価上昇などで消費も低迷します。こうした経済環境下で新たな小売業態として登場したのが、家電製品やカメラを低価格で量販するディスカウント専門店です。
 70年代後半になると、共働き、都市型ライフスタイルの定着など消費生活の質的変化に伴い、コンビニエンス・ストアという新たな業態が現れました。80年代初頭には、カタログ販売などの通信販売も伸びてきます。

C80年代半ば〜90年代初頭(小売業態の多様化)
 バブル経済期に入ると、消費者ニーズは個性化・多様性の傾向が高まり、それに呼応するように、“多角化”と“高級化”をキーワードに専門店を集めたファッションビルや、高感度で高品質な品揃えの専門店やレストランを集めた複合商業施設が多数開発されました。

D90年代前半〜現在(小売業態の再構築)
 バブル経済の崩壊とともに、消費者のニーズは“低価格”“実質本位”へと変わり、その結果、総合スーパー・百貨店の多角化と高級化路線は頭打ちとなり、低価格路線のディスカウント・ストアやカテゴリーキラー、パワーセンターなどの業態が数多く登場しました。既存の総合スーパーや百貨店も、不良採算店舗を閉める一方、新業態の開発を目指して事業の再構築を進めています。

今後の業態革新に影響を与える要因
 先に述べたように、小売業態とは、時代の要求に応えて絶えず変化するものです。今後の変化に影響を与える要因としては、@海外資本の進出による国際化、A一層の規制緩和による異業種からの参入、B技術革新によるネット通販の拡大、C流通システムの革新による業態間競争の激化、D透明な価格政策への消費者ニーズの高まり、などが考えられます。