第8章 販売促進活動と売り場づくり

[販促概論3] プッシュ戦略/プル戦略

販売活動にはメーカーや流通・小売業者が仕向ける方法と、消費者からの注文を誘う方法がある。

プッシュ戦略
 メーカーが流通・小売業者に対して、自社製品やサービスを積極的に販売してもらうよう仕向ける戦略を指します。具体的には、店員を派遣したりリベートを提供することで、流通・小売業者の販売力を強化したり販売意欲を高めたりします。また、安定的な販売チャネルの確保を狙い、流通・小売業者の系列化を図ることもあります。
 これからはメーカー主導というよりは、流通・小売業者と共同作戦ともいえるソフトプッシュ戦略が主流になるものと思われます。

プル戦略
 広告や店頭活動に力を入れ、消費者に直接、製品やサービスの魅力を訴えることで、購買意欲を刺激し、最終的には消費者が指名買いをするように仕向ける戦略のことです。
 メーカー主導のプッシュ戦略とは対照的に、消費者の自発性に基づく戦略であり、消費者ニーズを確実に捉えアピールすることが重要です。小売業者にとっては来店促進のための戦略といえます。
 実際の販促策においては、両者の戦略をミックスした相互補完的な活動が多く展開されています。しかし、昨今のように消費者の嗜好が多様化し、消費者自ら必要な情報をいつでも、どこでも入手できる状況下では、消費者のニーズや自発性を尊重する消費者主導のプル戦略がとりわけ重視されています。