第9章 広告と広報活動
[広告概論2] 広告法規
広告情報に対する規制
広告は、今日の社会生活に深く関わっており、さらに、その多くは送り手から受け手への一方向の情報伝達であることなどから、広告内容についての虚偽や誇大表現がなく、適正なものであるかどうか、倫理的に許容されるものであるかといった視点で厳しく問われることになります。広告に対する規制は、ある部分は広告関係者の良識に委ねられますが、業界内の自主規制や、法的規制の対象になる部分もあります。
広告の表現や伝え方、広告枠の総量規制なども含めて、広告業界として自主的に規制を定めたものとして、広告倫理綱領、クリエイティブ綱領などがあります。また広告主サイドのものとしては、日本広告主協会などの倫理綱領が、また媒体別には、新聞協会の新聞広告綱領や、日本民間放送連盟の民放連放送基準などが存在します。さらに、広告の監視機能を持った機関としては、日本広告審査機構や、新聞広告審査協会、日本雑誌広告協会などがあります。
法的規制
広告ビジネスに関わる法的規制の一つに、景品表示法があります。懸賞付き広告を行う際には、景品の最高額や総額の制限、ベタ付き景品の額の制限などが規定されています。このほか、広告製品を使ったエンドユーザーに生活上の危険や損害が発生し、広告表現の不備がその要因となった場合などでは、PL法(製造物責任法)が適用されることになります。
また、広告制作の過程において、クリエイティブで使用した人物の肖像権やプライバシー保護の必要性、著作物・音楽などの著作権、知的所有権に関する事柄は、著作権法の適用を受けることになります。このほか、広告取引契約の適正化なども重要な事柄です。消費者の安全志向は今後ともさらに強まるものと予想される中で、製品の素材表示なども含めた広告表現に関する新たな問題の出現も予想されます。