第9章 広告と広報活動
[広告プラン2] 広告表現(クリエイティブ・プラン)
商品コンセプトのメッセージ化
広告戦略のうち、メディアミックス・プラン(媒体戦略)に並ぶもう1つの中心的戦略が広告表現、つまりクリエイティブ・プランです。クリエイティブ・プランの基本は、競合商品と比較しての優位性やその商品のみがもっている特性(商品コンセプト)を、簡潔に、そしてわかりやすくメッセージ化(表現コンセプト化)することです。
そのためには、広告を打つ商品・サービス自体の特性や市場の特性、さらに市場でのポジション、ターゲット、競合商品の広告戦略などをしっかりと押さえる必要があり、当該商品に期待する市場ポジションなどを念頭に置いた上で、その広告で消費者に何を訴えるべきかといったプランニングが行われます。この過程を経て、その広告表現コンセプトが固まり、具体的にビジュアルや平面、音声など、メディア別に落とし込んだ具体的な表現プランが立てられるわけです。
心理的パワーを生む広告表現
広告の本当の目的は、マスメディアなどを利用して大量に投下し、その結果として、表現コンセプトとしてのメッセージがただ単に広く深く伝わればいいというものではありません。メッセージが広く深く伝わったことにより、エンドユーザーの支持を得たり、買いたいという気持ちが喚起されなければなりません。エンドユーザーの支持を得るためには、広告表現としてのメッセージが人々に好感を持たれること、そして人々の記憶に残りやすいインパクトを持っていることなどが重要となるのです。
広告表現には、エンドユーザーをその気にさせるような心理的パワーを持つことが要求されます。これまでの広告表現評価調査結果などから、広告表現への好感度は、広告商品に対する使用関心率や購入意向率、あるいはブランドやメーカーに対する支持意識などと高い相関を持っていることが指摘されています。