第9章 広告と広報活動

[広告指標2] マインドシェア

記憶の中の心理的結び付き=マインドシェアが高いほど、選択・購入確率が高まる。

心理的・質的な指標
 広告を行う最終ゴールは、広告目標として予め設定された売上や販売数量、シェア、イメージ向上などの目標値をクリアすることです。消費財広告に限るならば、消費者にその商品・サービスを「使いたい」「買いたい」といった気持ちを起こさせた結果、実際の売上にどれだけ結び付けることができたかが広告の成果ということになります。
 しかし、消費者の態度変容の構造は非常に複雑である上、実際の市場の中には、態度変容に影響を与えるさまざまな要因が存在するために、広告を呈示しさえすれば購買行動というレスポンスが得られるという単純な構造は成立しません。広告の効果(成果)を売上や販売数量、シェアといったものに直接結び付けてとらえることは非常に難しいということになるのです。そこで、広告の受け手の態度変容の度合い(選好度など)や、競合商品を含めた相対的ポジションの変化といった、購買に至るまでの心理的・質的な指標に着目し、これを数量化して広告効果の1つの構成要素とするようになってきました。

マインドシェア
 心理的・質的な広告効果指標の1つがマインドシェアで、エンドユーザーの記憶の中で、特定ブランドや企業の占めるシェア・強さを示します。マインドシェアは実際の市場シェアと完全に合致するものではありませんが、マインドシェアが高いほど、その製品・ブランドが選択される確率、購入される確率が高まり、マインドシェアと市場シェアの間にも相関が存在することが確認されています。特に競合状況が厳しい商品市場においては、ブランド理解率や信頼度、選好度なども含めた、エンドユーザーと対象ブランドとの間の心理的な結び付きを示す中間指標としてマインドシェアを取り込むことで、両者をつなぐマーケティングを展開することが必要となっています。