第10章 消費者意識と購買行動

[消費者意識2] 5つの消費者カテゴリー

新製品の普及過程は、消費者のイノベーション採用時期により体系化されている。

新製品の普及過程
 新製品がどのように消費者に受け入れられ、普及していくかは、企業のみでなく社会に大きな影響を与えるという意味で注目すべきテーマです。E・M・ロジャースは、新製品に限らず新たなアイデアやサービス、習慣などを含めた概念を「イノベーション」という言葉で表し、それが消費者に普及し浸透する過程を体系化しています。

消費者の分類
 ロジャースは、イノベーションの採用時期により、消費者を次の5つのカテゴリーに分類しています。
@イノベーター 最も早い時期にイノベーションを採用する消費者。新製品への関心が高く、情報感度も高い。
A初期少数採用者 そこそこ革新的な層であり、社会的には大衆から一目置かれる、高い地位にある人が多い。平均よりも一歩進んだ層であるため、大衆のモデルとしてオピニオンリーダー的な役割を果たす人が多い。
B前期多数採用者 社会の平均よりもやや早いタイミングで採用する大衆。採用には比較的慎重に時間をかける。
C後期多数採用者 平均的な人が採用した後に行動に出る慎重派。新製品の社会的評価が出るまで採用しない。
D採用遅滞者 変化を好まず、新製品に無関心。社会的にも孤立した人が多い。
 以上、@〜Dの順にイノベーションは採用され、採用遅滞者が最後に採用することによって、一連の普及過程は終了します。それは、次期新商品開発のタイミングを示す市場からのシグナルであり、適切なコミュニケーション戦略の切り替え時を示す指標とみることもできます。