第10章 消費者意識と購買行動

[購買行動2] 購買履歴

顧客のロイヤルティを高めるためには、購買履歴を分析し、顧客特性を把握することが重要。

購買履歴とは
 顧客がいつ、どこで、どんな商品を購入したかを継続的に示す情報を意味します。企業は、顧客の購買履歴をデータベース化し有効活用することによって、顧客ニーズに合ったマーケティング戦略を展開することができます。

購買履歴の有効活用
 消費者ニーズの多様化により、現在のマーケティングはマス・マーケティングからワン・トゥ・ワン・マーケティングへと移行しています。技術革新により、売り手は顧客の個別情報をコンピュータで管理できるようになりました。また、個別の購買履歴を分析することにより、潜在的なニーズの予測が可能となり、各々の顧客に行き届いたサービスを提供できるようになっています。
 例えばある広告代理店では、同社のパック旅行利用者に対し、過去利用したツアー代金と同価格帯の商品案内を選択して定期的に送付しています。また、クレジットカード会社からのDMには、旅行の案内や保険の案内、ゴルフ場の案内など、顧客別に含まれる内容が異なっていますが、これは顧客属性と購買履歴を分析した結果によるものといえるでしょう。

顧客の差別化への活用
 企業にとって、顧客のロイヤルティを高め、定着化を図ることは、新規顧客開拓と並んで重要です。また、ロイヤルティが高い層には特典を与えて差別化し、個別の顧客シェアを高めていくことも必要です。そのための手段としても、購買履歴は重要な要素といえます。例えば百貨店などのポイントカード、航空会社が実施しているマイレージカードは、商品利用を促すための工夫の一環です。また、航空会社における特定顧客への優先的な座席のアップグレードなどは、優良顧客の満足度を高めてシェア増加を狙う差別化戦略の例です。
 このように、顧客別に購買履歴を把握することは、企業にとって顧客特性をつかみ、販売戦略を練る上で、今や不可欠な要素といえます。