第10章 消費者意識と購買行動

[購買行動6] サービス消費

サービスの差別化が、競争が激化する社会において優位に立つポイントである。

サービスの定義
 「サービス」とは、特定の人々が利用者に対して提供できる満足や便宜を与える諸活動を意味しており、実質的には無形のものです。人がサービスに対してお金を払えば、それは「サービスを消費した」ことになります。例えば美容院で髪を切る、スポーツを観戦する、銀行に預金するなどは、全てサービスの消費に該当します。

サービスの特徴
 コトラーは、サービスには以下の4つの特徴があるとしています。
(1)無形性 サービスは消費以前にどのようなものかを実感することができません。消費者はサービス提供者を信頼するしかないのですが、提供者が提供物をより具体的に示したり、サービス消費によるメリットを強調することは可能です。
(2)非分離性 サービスの生産と消費は、通常同時に発生するため、必然的に提供できるサービス量に限界が生じてしまいます。対応策としては、一度に多人数の相手ができる工夫をすることや、信頼できる担当者を多数養成することが挙げられます。
(3)多様性 サービスは、いつ、どこで、誰が提供するかにより、大きく品質が異なります。サービスの提供者は品質を管理するために、@優れた人材の登用と訓練、A業務の標準化、B顧客満足度の測定、この3点に対応する必要があります。
(4)消滅性 サービスは在庫ができません。よって提供者は、需要が変動する場合に、供給とのバランスを保つための策を練る必要があります。例えば、旅行オフ期の割引価格設定や、混雑緩和のための予約システムの設定などがこれに該当します。

サービスの差別化
 モノが飽和状態になり、品質面でも均質化が進む現代においては、サービスで差別化を図り、他社より優位に立つことが、競争戦略上、重要なポイントとなっています。