第11章 マーケティング情報とデジタル・マーケティング

[マーケティング・システム3] POSシステム

バーコード情報により川下の販売管理から川上の生産管理までの統合を可能とするシステム。

POSは
 Point Of Salesの略称の通り、「販売時点情報管理」を意味します。現在、市場に販売されている消費財のほとんどにバーコードが入っており、販売時にバーコード情報を読み取ることで商品の単品管理が可能となりました。商品在庫が販売時点で正確に把握できることで、過剰在庫や品切れを防止するのに不可欠なシステムとなっています。
 POSシステムは、当初は在庫管理面でのデータ管理システムとしてスタートしましたが、現在は小売業だけでなくメーカーを含めた多くの企業の経営管理情報システムとして進化しています。

POSをフル活用するCVS
 POSによる販売データ活用は末端の販売情報として小売業の在庫管理とともに、販売管理や商品仕入れ、配送の効率化を実現しました。コンビニエンス・ストア(CVS)を一例にとります。
 CVSは限られた陳列スペースとバックヤード(在庫)しか持っていません。POSデータを活用すれば、店舗での必要販売量を分析して売れ筋商品だけを陳列することができますし、一日の販売数量を予測して、適宜、本部から必要分の在庫量を補充すれば、最小の在庫量で品切れを起こすことがありません。このようにCVS本部は各店舗に売れる商品を必要なだけ必要な時に配送し、効率的な配送計画を実現させているのです。

POSデータを多方面で活用
 販売データ分析によって、顧客の購入傾向から品揃え分析や陳列分析、エリア分析なども可能となります。さらにプロダクト・ライフサイクルまでを視野に入れた分析をすることで、個々の店舗の顧客が求める商品の最適な組み合わせをシミュレーションすることもできます。メーカーも、CVSと共同開発した新製品のテスト・マーケティングや販売戦略などに活用するなど、POSシステムは不可欠となっています。