第11章 マーケティング情報とデジタル・マーケティング
[デジタル・マーケティング1] Eコマース(電子商取引)
インターネット人口の急増
今年中には二〇〇〇万人を超えるといわれるインターネット人口の急増は、様々な新しいビジネスチャンスを発生させる契機となっています。アメリカで誕生した、アメリカで発達したインターネットですが、オープンリソースの目的は、学術や趣味など様々な情報をグローバル化させ、自由な交流を実現させることでした。しかし、そのインターネットも、今や二十一世紀の産業革命を引き起こす起爆剤となってきているのです。
電子商取引
インターネットを活用した新しいビジネスの中で顕著な成長をみせているのが、電子商取引の分野です。電子商取引は、BtoBといわれる企業間取引とBtoCといわれる企業と消費者との取引があります。BtoBのケースでは、電子商取引の発達によって、完成品メーカーは、これまでの取引実績に捉われることなく、自社にとって最適な部品メーカーとの取引きを始めるようになりました。その結果、これまでの系列化政策が崩れ始める一つの要因となってきています。
Eコマース
BtoCの代表がEコマースです。これは、インターネット上に仮想商店街を構築し、消費者は、インターネットを通じて自由にこの仮想商店街でのショッピングを楽しめるというものです。
Eコマース業態は次のような二つに大別されます。その一つが、アメリカのamazon.comに代表されるようなドットコム・ベンチャーであり、もうひとつが百貨店など既存の商業資本によるEコマ−ス参入です。アメリカでの既存商業資本による参入の代表例はアメリカ最大の量販チェーン・ウォルマートであり、すでに買回品までEコマースで販売しています。
日本のEコマース
カタログなどを使った通信販売が既に普及していたアメリカと異なり、日本の場合は、何度も問屋を経由する多段階流通という独自の流通形態が存在しているため、Eコマースの形態もかなり異なるものとなっています。具体的には、ドットコム・ベンチャーの他、メーカー直販型、小売共存型、卸共存型など、様々な業態が展開されています。最も知られているのが、ドットコム・ベンチャーの「楽天市場」です。実店舗がいらないEコマースでは、個人がバーチャルショップを開くことも十分可能であり、「楽天市場」は、こうした小資本の小売業を集積して成功した一例です。
今後の課題
今後は、大手小売業なども次々にEコマースの分野に参入するものと思われますが、インターネットユーザーをいかにバーチャルショップ・モールに誘導するかが大きな課題となります。そこで関心を集めているのが、ウエッブ・マーケティングという発想です。具体的には、インターネットの中核であるホームページを消費者の視点から見直そうというものです。消費者を誘導するのは、単にバナー広告の露出頻度だけでは測れない時代になっています。また、ショップのホームページも、デザイン中心で重いページがユーザーに敬遠される傾向も目立ちはじめており、どれだけ使いやすいかという点が固定客獲得のカギを握っています。
CVSの本格参入
今後は、コンビニエンス・ストアがインターネットに本格参入することが予想されます。これが実現すれば、Eコマ−スの課題である決済方法と配送(物流)方法の二つが、一挙にCVSの店舗で解決されることになり、日本型Eコマースが飛躍的に発展する牽引力となりそうな勢いです。実際は、まだ始まったばかりのEコマースですが、インターネット技術の進展によって、今後ますます業態や購入方法は進化し、消費者が本当に欲しい商品を安全に購入できる時代が来るものと思われます。