第12章 マーケティング・リサーチと解析手法

[リサーチ手法1] 訪問調査

調査員が対象者の自宅・職場等に訪問して行う調査手法。年々調査環境が厳しくなっている。

訪問調査とは
 調査員が対象者の自宅・職場等を訪問して調査を行うデータ収集法の一つです。訪問調査の種類としては、@質問紙を用いてインタビューをする「質問紙法」、A質問紙を用いないでインタビューする「ディテールド法」、B家庭で商品テストを行う「HUT(ホームユーステスト)」などがあります。質問紙法はさらに、「面接法」(対象者に調査員が質問し、回答を質問紙に記入する)、「留置法」(調査員は対象者に質問紙を渡し、回答が記入された質問紙を後日回収する)、「面接・留置併用法」(一部の質問は面接し、残りの質問は留置する)の三つに大別されます。

訪問調査のメリット
 メリットとしては、調査員を使うことで、質問の内容・ボリュームといった質問に関する制限が他手法と比べて少ないことが挙げられます。例えば、質問ボリュームが多く、対象者の負担感が強い質問紙でも(もちろん限度はあります)、調査員から協力のお願いなどを行うことで、他手法に比べ高い回収率が期待できます。また、対象者に回答項目を予め見せたくないような質問については、調査員が質問し回答するといった対応や、調査員に商品・写真を持たせて、その評価を行うといったことも可能となります。

訪問調査のデメリット
 デメリットとしては、調査員を使う分、他手法に比べ費用が高めになることが挙げられます。また、調査員の果たす役割が大きい手法なので、調査員の質が高い調査会社を選択することも重要です。最近の傾向として、共働き等による在宅率の低下や、マンションのオートロック設備等による接触率の低下から、訪問調査の環境は悪化する傾向にあります。したがって、事前に調査主旨・期間等を記載した挨拶状を送ったり、不在の場合は都合のよい日時を連絡してもらうといった細かい気配りも重要となります。