第12章 マーケティング・リサーチと解析手法

[リサーチ手法2] 郵送調査

対象者への質問紙送付・回収を郵送で行う調査手法。回収率をいかに高めるかがカギ。

郵送調査とは
 対象者の自宅・職場等へ郵送で質問紙を送付し、回答してもらった質問紙の回収も郵送で行うデータ収集法の一つです。

郵送調査のメリット
 一般的に調査費用が安くすむことが挙げられます。これは、訪問調査のように調査員を用意する必要がないことや、会場調査のように調査する場所を用意する必要もないため、比較的手軽に実施できることが大きな要因です。
 また、質問紙の内容がわかりやすく、かつ社会的に好印象ももたれている企業等が依頼主であることを明記した場合は、回収率が高くなることが期待でき、その場合は費用対効果に優れたデータ収集法となります。さらに対象者が様々な地域に散らばって居住している場合には、その物理的距離差を郵送という手段で埋めることで、効率的な調査が可能となります。

郵送調査のデメリット
 一般的に回収率が低く、かつ回収率が予想しづらいことが挙げられます。通常、郵送調査の回収率の目安は三割といわれていますが、最近はそれを下回ることも多いようです。先ほど郵送調査のメリットとして費用が安くなるといいましたが、回収率が余りにも低ければ予定回収数を満たせず、その穴を埋めるために結果として費用が高くなってしまうケースもあります。
 また、希望回収数と予想回収率から振り出す数(調査対象者数)を決めますが、予想回収率を何%にするかで、調査のフレームは大きく変わってきます。通常、過去の類似調査結果を元に予想回収率を決めるケースが多いのですが、あくまで過去のケースですので、予想がはずれるリスクは常につきまといます。そのため、予想より回収率が極端に低くなっても、対処できるようスケジュールに余裕を持たせることも必要です。質問紙の内容・量の対象者への負担感についても十分検討が必要です。