第12章 マーケティング・リサーチと解析手法

[解析手法2] コーホート分析

時系列データの分析に際して、“世代”という視点を取り入れて、時代のトレンド把握を試みる分析手法。

コーホート分析とは
 日頃私達は、「戦中派・戦後派」「団塊世代」「団塊ジュニア」といった、出生年を基準に物事に対する思考や行動の違い・特徴を表す言葉をよく耳にします(いわゆる世代論です)。コーホート分析とは、時系列データを分析する際、こうした“世代”という考え方を分析視点に取り入れた分析手法で、時系列分析の目的である時代のトレンド(構造的な変化)の把握を試みる分析手法です。ちなみにコーホートとは「出生をほぼ同時期にする人間の集団」を意味します。
 コーホート分析を構成する三つの効果 コーホート分析では、まず年齢別時系列データの変動を、@年齢効果、A時代効果、Bコーホート効果の三つの効果に分解します。

@年齢効果
 人格形成期や家族形成期など、人間の成長過程や加齢に伴って発生する要因を指します。

A時代効果
 高度成長期、バブル期といった各年代における社会環境から発生する要因を指します。

Bコーホート効果
 団塊世代、団塊ジュニアといった、同じ時期に生まれ、同じ社会環境を共有して育ってきた人間集団から発生する要因を指します。
 コーホート分析を実施することによって、消費者ニーズを下図のような三つの効果に分解することが可能となり、潜在ニーズの発見に結びつけることも可能となります。また、その世代特有の特徴を活用して、将来的な需要予測といったモデルへの応用も可能です。