NRCレポート

障害のある人の政治参加と就労・就学に関する調査(2019年9月調査結果)

時事・トレンド

公表日 2019年11月11日

日本リサーチセンター(本社:東京都、代表取締役社長:鈴木稲博)は、1960年に設立された民間の調査研究機関であり、民間企業および官公庁、大学をはじめとする学術機関などの依頼を受け、各種の調査研究をおこなっています。この度、当社の自主調査として、「障害のある人の政治参加と就労・就学に関する調査」を実施しました。

調査実施の背景と目的

 2019年7月の参議院選挙では、れいわ新選組から重度の身体障害のある人が2名、議員として選出されました。それをきっかけに、国会のバリアフリー化や、現在の日本の制度では通勤・就労時の介護の費用が公的負担の対象外になっている点が議論を呼びました。

 働く障害者の支援のあり方を見直す動きもある中、障害のある人の政治参加と就労・就学の支援のあり方について、人々はどのように考えているのかを明らかにするため、この調査を企画しました。

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主な調査項目

  1. 障害のある人の政治参加に関する意見
    (政治参加について、当事者である意義について、政治参加による社会への影響について)

  2. 障害のある人の就労・就学に関する意見
    (就労・就学の自由について、介護制度のあり方について)

調査結果の要約

  • ●障害のある人の政治参加に関する意見

    障害のある人の政治参加に関して ABの異なる意見を提示し、そのどちらに近いかについて5件法で回答を求めた。

    政治参加、当事者である意義、社会への影響のいずれもAの意見、つまり、「政治参加A:被選挙権がある人なら、障害の有無にかかわらず、立候補したい人が議員に立候補すればよいと思う」、「当事者である意義A:障害のある人が政治に参加し、当事者の視点でさまざまな政策立案ができるのでよいと思う」、「社会への影響A:障害のある人が議員に当選したことで、多様な人々が利用しやすい社会づくりが進むと思う」への賛同者が過半数を占めた(Aに近い計:52.7~54.3%)。

    他方、「政治参加B:議員としての活動に困難が伴う人は、議員に立候補しないほうがよいと思う」、「当事者である意義B:障害のある当事者が議員にならなくても、その人たちの意見を代弁する政策立案ができればよいと思う」は、少数派とはいえ、4人にひとりが賛同している(Bに近い計:25.0~25.8%)。

  • グラフ
  • 1.png

障害のある人の就労・就学に関する意見

  • ●障害のある人の就労・就学に関する意見

    障害のある人の就労・就学に関して ABの異なる意見を提示し、そのどちらに近いかについて5件法で回答を求めた。

    就労・就学の自由については、7割を超える人が「A:障害があっても自由に働ける職場づくり、学べる学校づくりが必要だ」に賛同している(Aに近い計74.5%)。

    障害者福祉制度の「重度訪問介護」において、重度の障害により介助を必要とする人の介護費用の公的補助は自宅での食事や入浴等に限られ、通勤・通学、就労には適用されないことに対して、「A:介助を必要とする人が就労する際の介助費用は、職場(参議院議員の場合は参議院)でまかなうべきだ」への賛同者(Aに近い計)は約半数(52.5%)であるのに対し、「B:介助を必要とする人が就労する際の介助費用は、自費でまかなうべきだ」への賛同者(Bに近い計)は約1割にとどまっている(9.9%)。また、「A:これを機に、就労・就学においても公的サービスを受けられるように制度を見直すべきだ」については、賛同者(Aに近い計)が6割を超え(62.3%)、公的制度見直しに社会の半数以上が賛同の意を示している。

グラフ

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調査概要

調査方法
 NOS(日本リサーチセンター・オムニバス・サーベイ:毎月1回定期的に実施する乗り合い形式の全国調査)
 調査員による個別訪問留置調査
調査対象
 全国の15〜79歳男女個人
有効回収数
 1,200人(サンプル)
 ※エリア・都市規模と性年代構成は、日本の人口構成比に合致するよう割付実施
サンプリング
 毎月200地点を抽出、住宅地図データベースから世帯を抽出し、個人を割り当て
調査期間
 2019年8月30日~9月11日

詳細は、下記PDFファイルをご参照ください。

障害のある人の政治参加と就労・就学に関する調査レポート.pdf
障害のある人の政治参加と就労・就学に関する調査_設問の内容及び単純集計結果テキストファイル.pdf

※この調査結果について、共生社会に向けた研究に関しては、無料で調査データを提供いたします(調査結果を引用等でお使いいただく場合には、弊社名の記載をお願いします)。
 NOS基本軸、NOSの詳細につきましては、こちらをご覧ください。

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<ご参考:障害についての意識やユニバーサルデザイン、共生社会関連の日本リサーチセンターの自主調査>

ユニバーサルデザイン社会の実現度 定点観測調査 第2回調査(2018年9月調査結果)

NOS(日本リサーチセンター・オムニバス・サーベイ)とは


調査パネルを使ってインターネットで簡単に情報収集できる時代になりましたが、NOSでは、50年近くにわたって、
(1)調査員を使った訪問留置
(2)パネルモニターではない毎回抽出方式
で調査を継続しており、代表性のある信頼の高いデータを提供しております。
NOSは、毎月1回定期的に実施する乗り合い形式(オムニバス)の調査です。毎回ランダムに決められた200地点にて、対象となる方に調査員が協力を依頼してアンケートを回収します。性年代構成を日本の人口構成比に合わせているため、全体結果は日本を代表する意見として、そのままご覧になることができます。インターネット調査では、回収が難しい高齢層やインターネットを使っていない人の実態や意識を分析するのにも有用な手法と言えます。


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